1.日時:平成17年12月3日(土) 13:00〜17:00
2.場所:玉川大学農学部第校舎502号室
3.主催:玉川大学全人教育研究施設環境教育研究グループ
4.協力:神奈川県水産技術研究センター内水面試験場
ゼニタナゴ研究会
奈良川源流域を守る会
玉川大学分科会生物自然研究部
5.参加者:約50名
6.プログラム内容
1)あいさつ:玉川学園と奈良池への取り組み・・・松香光夫先生(玉川大学教授)
松香先生はミツバチの研究で有名ですが、小学4年生から玉川学園に学び、人生のほとんどが玉川学園だそうです。
先ず、その玉川学園の来歴を説明されました。小原國芳さんが76年前に創立されたそうで、当時、小田急線は開通していましたが、駅は無く、学校を造ると共に駅も造り、小田急に寄付をしたそうです。当時、この辺りはクヌギ、ナラ、カシなどの薪炭林に覆われていたそうです。
さて、小原氏は豊かな自然の中でこそ偉人は生まれるとの考えから、創立の翌年に「環境教育論」を出版しました。環境教育が提唱されたのは世界的には1948年で、その先見性に驚かされます。その教育論は、教職員1万名になる現在にも引き継がれており、小泉首相が提案した「持続可能な開発のための教育の10年」を意識した環境教育を今年から始めたそうです。
なお、このシンポジウムは生物自然研究部の学生さんが中心になって取り組みされとのことです。
2)奈良池の保全生物学的評価・・・中山高行さん(玉川大学農学部4年生)
奈良池(本山池)に関する課題を社会学、自然科学、保全生物学の面から分析されました。
奈良池の歴史は古く、1300年代にさかのぼりますが、1981年以降、玉川大学50周年事業により、奈良池及び周辺が開発され、水源の枯渇、石灰の注入、護岸工事等で環境は一気に悪化しました。加えて、都市計画道路の線引き、ゴミ投棄、タイリクバラタナゴ、ブルーギルの放流がゼニタナゴ、ドブガイを絶滅に追いやったとのことです。
奈良池の環境悪化をくい止め、保全を図るには規制強化と啓蒙が当面は不可欠ですが、奈良川源流域全体の保全が必要との結論でした。
3)東北地方におけるゼニタナゴ保全活動・・・北島淳也さん(ゼニタナゴ研究会)
日本全体のゼニタナゴの現状は瀕死の状態にあることを説明され、その原因と対策について訴えられました。
なお、ゼニタナゴが受精するビデオ映像は感動的でした。
4)神奈川県産ゼニタナゴの研究と今後の課題・・・勝呂尚之さん(神奈川県水産技術センター)
水面試験場の人工授精等によるゼニタナゴの保存の現状が紹介されました。
5)奈良池周辺環境の保全への期待・・・山田会長
奈良池(本山池)を含む奈良川源流域、土橋谷戸の地形、風土の特徴と来歴、奈良川源流域を守る会の活動紹介、ゼニタナゴ復元の取り組みなどが説明されました。なお、休憩時間には当会の活動を紹介したテレビ番組の録画が流されました。
6)総合討論・・奈良池の保全と環境教育・・司会:松香先生
行政や玉川大学に対する期待と要望、総合学習による環境教育の課題、学校、PTA、地元民、行政の協働した取り組みの必要性が確認され、散会しました。
生物自然研究部の皆さま、お疲れ様でした。