奈良川源流域の植物調査の結果
平成21年(2009年)
調査方法
環境省では、日本自然保護協会と協力して、全国の100個所を選んで生物の
長期的生態観測を行うモニタリングサイト1000の事業を進めています。
その調査地の1つとして、奈良川源流域が取り上げられているので、
その一環として、2008年9月から、奈良川源流域の植物調査を行っています。
その調査では、あるルートを定め、それをいくつかの区間に分割し、毎月、
蕾や花、実のある植物を各区間ごとにすべて記録しています。
奈良川源流域の植物調査のルートは次の図のとおりです。
植物調査のルート(赤い線で表示)
調査結果の要約
観察された植物の種類数
2008年9月から2009年8月までの1年間で、上記のルート上で観察した植物の
種類の総数は、
397種
でした。希少種もいろいろ見つかりました。
月別の種類数
それを月別に見ると、下図のように、多い月で137種、少ない月で19種でした。
月別の植物例
1月 ヒメオドリコソウ(シソ科)が寒さにじっと耐えています。
2月 カントウタンポポ(キク科)がもう咲き始めました。萼がセイヨウタンポポのように反り返らず、花びらに密着しています。
3月 トウダイグサ(トウダイグサ科)の花はおもしろい形をしています。
4月 ウワミズザクラ(バラ科)は、花期が短くて、なかなか花にお目にかかれませんが、一斉に咲いてとても華やかです。
5月 アゼナルコ(カヤツリグサ科)の花は緑色なので目立ちませんが、
穂の細い部分は雄花で、太い部分は雌花です。
6月 ヒメシャラ(ツバキ科)は椿と違って夏に咲きます。
7月 ミソハギ(ミソハギ科)は、他の花が少なくなったころに野を彩ります。
8月 オトコエシ(オミナエシ科)は、オミナエシにくらべ、花が白く、
力強い感じです。
9月 コシオガマ(ゴマノハグサ科):葉まで(浜で)美しい小塩竃。
10月 アキノキリンソウ(キク科)は、キリンの首のように長くのびます。
11月 センニンソウ(キンポウゲ科)が仙人のように白い髭をのばしています。
12月 キランソウ(シソ科)ヒメオドリコソウ(シソ科)は、地面に
へばりつくようにして寒さをしのぎ、広がってゆきます。