カワセミだより

身近な自然の再発見

奈良川源流域での観察会・一九九九年度

冬の鳥

一九九九年
二月二十七日(土)

奈良川源流域
冬の鳥
   講師: 田淵俊人先生

鎮目 博

   谷戸ではかつて約百四十種の野鳥が確認されたそうですが、今日の課題は三十種の野鳥のウォッチング。多くの野鳥の生息が確認されれば、それだけ豊かな自然が残されている証左になります。

   右手に双眼鏡、左手に野鳥図鑑を持って、いざ出陣。カワセミでもいればな、と本山池に行くとカイツブリという水鳥のファミリーに遭遇。親鳥が、池の中をひと潜りして、魚をくわえ上げた図は、感動ものでした。

   玉川大学の体育館のふもとに行くと、チョウゲンボウが飛翔。九種類の野鳥しか確認できませんでしたが、谷戸の生態系の王様の生存を確認して一安心。さぁ帰ろう、ときびすを返したところ、そばの草藪でガサガサ、という音と共に「チョットコイ!」という声。草むらを覗いてみると、オレンジ色の鮮やかなコジュケイの群が五羽六羽七羽! 数える間もなく、飛び立っていきました。

   ふだん散歩をしている時には、全く気がつきませんでしたが、鳥は空を飛ぶだけでなく、地も這っているということが良く解りました。私たちが知らないだけで、別の種も共に生活を営んでいるのです。

四月四日(日)
植物観察とお花見の会

花を愛でる

安藤 安雄

   四月四日、奈良川源流域を守る会のお花見に参加いたしました。

   普通、お花見というと、お酒や踊りで喧噪極まりないものですが、このお花見は珍しく静寂の中で、しっとりとした気分で桜の花を充分堪能することが出来ました。

   野川会長の庭を通り、予め玉川大学の許可を得ていた柵より、学園校内の里山に入りました。そこには、まことに小さな本山池があり、周囲に今ではあまり見ることの出来ない「オオシマザクラ」「ヒガンザクラ」「ヤマザクラ」が水面に花の影を映しており、何処からともなく鶯の声を聞き、一寸深山へ入った様な感じでした。

   鶯やしばし佇む谷戸の奥

   学園構内の里山を越え、中等部、工学部の前を通り、大学の中心部へ出ますと、桜はまさに満開でした。

   里山を越えて学園花の雲

谷戸の桜

五月三十日(日)
昆虫観察会
   講師: 新島惠子先生

うどの かずき

   今日、虫とりをしました。ぼくは、さいしょにてんとう虫のようちゅうをとりました。ほとんど、お母さんが見つけてくれました。そのよう虫が、あぶら虫をたべていました。つぎに、てんとう虫のせい虫を見つけました。いろんな色や、もようや、しゅるいがありました。それから、てんとう虫のさなぎのぬけがらと、本もののさなぎを見つけました。いろんな虫がいました。

昆虫観察会

   つぎに、お母さんがバッタのメスをつかまえました。そのバッタは、ほかの虫をいれようとすると、出ようとします。だから、いれものに入れるのに、くろうしました。ぼくは、バッタがてんとう虫をたべないかしんぱいしました。でも、たべなかったので、あんしんしました。でもちょっとしんぱいです。

   つぎに、「米つき虫がいるよ。」っておしえてもらって、つかまえました。とちゅうで。木にあわがついているのを見つけました。そのあわをふーとふいたら、中に、あわ虫がいました。その虫はつかまえませんでした。あわをだして、みをまもっているんだって。あと、がのよう虫を見つけました。ちょー、きもちわるかったです。つぎに、おねえさんに、ぞう虫をもらいました。きみどり色で小さかったです。小さいのに、どうして、ぞうなんでしょう? かえりみちで、さいごの、てんとう虫のよう虫をつかまえました。ぼくは、こんなに、日きをかいのたは、はじめてです。

八月一日(日)
ホタルの夕べ

巴 由美子

   以前、宮本輝原作の「蛍川」という映画を観たことがある。映画はあまりおもしろくはなかったが、黄緑色に発する無数の蛍の光が、あたかも、そこに人間がいるように見えた光景は、今だ記憶に新しい。

   実は、私はこの歳迄、本物の蛍の光を見たことがない。だから、この蛍見学は、かねてより、とても楽しみにしていた。この日、はやばやと夕飯の片づけを終え、満腹で動くのも嫌と言わんばかりの主人を強引に連れだし、子供を従え、夜の奈良上へと出掛けていった。

   自治会館で会長の挨拶や「横浜ほたるの会」の会長からの説明を受け、年々数が減ってきている中で、懸命に灯を絶やさぬよう努力している会長の姿に胸を打たれ、その反面、貴重な自然環境を、公共施設建設という名目で、簡単に破壊する行政の無神経さに驚いた。

ホタルの夕べ

   スライド説明を終え、待ちに待った蛍とのご対面である。今晩は風が強い。出てきてくれるだろうか、少し心配になった。谷戸は、すっかり薄暗くなってしまった。しばらく歩くと、あちらで歓声が聞こえる。目で追うが分からない。会長の側に行くと、ペンライトの反応に応えて田んぼの溝の中で、青白く光るものが見えた。ヘイケボタルだ。そうこうすると、あちこちで青白く光っているのが見えるではないか。まるで、私達を歓迎してくれるかのように見える。そして、それは、蛍同士が会話をしているようにも見える。

   きれいな水と土と緑を必要とする蛍は、私達の環境に警鐘をも鳴らしてくれる。蛍のいる所には、ヤゴやザリガニなど水辺の生物を始め、蝶やカブト虫など豊かな自然が営まれている。私達は、蛍の住める環境を心より大切にしたいと誓い、この谷戸を後にした。

十月三十日(土)
虫の声を聴く会
   講師: 松香光夫先生, 角田 亘さん

身近な昆虫 鳴く虫

角田 亘

   多くの鳴く虫が鳴き始めるのは、夏の終わり頃からである。道の草むらや畑、木の上方から、様々な虫の声が聞こえてくる。近寄ると鳴くのをやめてしまい、どこにいるのか分からなくなった経験のある人も多いであろう。

声の主は?

   桜や柿の木の上方には、「リーリー」と連続して鳴く樹上性のアオマツムシ、低木には「チンチンチン」と弱い音を出して鳴くカネタタキ、草むらや畑には「リリリリ」の短い間隔で鳴くミツカドコオロギ、「リィーリィー」と同じテンポのツヅレサセコオロギ。鳴く虫の多くが、案外私達の身近な場所に生息していることに気付かされる。

   鳴き声を覚えるには、虫と声を結びつけて認識するのがポイントである。虫を採集し、数日間飼って鳴き声を聞くのもよい。鳴き声で虫が分かるようになると、虫に対する感じ方も違ってくる。観察会を通じてひとりでも鳴く虫に興味を持つ人が増え、さらに自然に親しむことへの足がかりとなればと思う。

鳥

二〇〇〇年
二月二十六日(土)

奈良川源流域
冬の鳥
   講師: 田淵俊人先生

瀬口 聡

   「いまチョウゲンボウは六羽いますね」

   田淵先生の声が弾む。それもそのはず、昨年二月のバードウォッチングの時は、年々数が減って三羽しか確認されていなかった。宅地開発などが原因で、玉川学園から姿を消すのかと不安にかられていたからだ。

   寒空の下、今回歩いたのは、谷戸の里山から会長さん宅を通り抜け、本山池の縁を歩き、山を一つ越えてチョウゲンボウがねぐらとしている体育館のそばに出、その後聖山まで足を運び、最後は体育館を一周するコース。

   田淵先生にとっては、玉川学園キャンパス内は自分の庭同然のようなもの。至る所で野鳥の種類や鳴き声、飛んでくる方向など説明してくれた。中でもチョウゲンボウによるエサ解体場所の話が面白い。

羽

   「空中でキックして捕まえた鳥を、首をおとして血抜きしながら、いったんここにもってくるのですよ」

   その場所は山中の道端にあった。エサとなった鳥の羽根の残がいを拾いながら、

   「これスズメ、これはキジバト。あっハクセキレイもいた」

   先生、楽しそうに見つける。驚いたことにチョウゲンボウ君、町田駅前の街路樹で集団で寝ているハクセキレイに夜襲をかけ、ワシッと捕まえてくるそうだ。そして指定された解体場所へ、なのである。またそれぞれエサをとる縄張りがあり、谷戸の里山方面・町田駅方面など範囲は広い。

   肝心のチョウゲンボウの実物は一瞬だけだったが目撃できた。田淵先生はすかさず、

   「ピーコだ!」

   と叫んだ。玉川学園の森のマスコットたちには、ちゃんと名前もついていたのだ。

   他にも目撃できた野鳥は、スズメ・カシラダカ・ツグミ・コゲラ…。特に聖山付近で木を渡りあるき、ツンツン突くコゲラの愛らしい姿がとても印象的だった。

   次回もまた楽しいバードウォッチングを期待している。チョウゲンボウがさらに繁殖して、玉川学園や谷戸の森を賑やかに飛び回ってほしい。


「ホタルの夕べ」に参加して

宮崎 正義

谷戸の蛍に招かれて ナイトショウに行きました
お谷戸の川辺は 源氏か平家か どちらかな
一年一度の蛍の祭だ みんな誘って 篭もって
せせらぎ 木の葉の ささやき涼し
ポカリポッカリ 蛍の祭 ホーホー 蛍来い

奈良川の源流だから甘い水 流れの末は恩田川
仲良し蛍も 銀河の星も 綺麗な水と風に飛ぶ
豊作祈って 蛍の祭 踊ろう 舞おうお祝いだ
蛍の提灯100万ボルト 雨にも平気だお祝いだ
ポカリポッカリ ホーホー 蛍来い

甘い水 甘い水 谷戸の水
踊ろう語ろう 蛍の仲間が待っている
居た いた ポカリポッカリ 雨にも平気
蛍の里だ谷戸の川 みんなが楽しい奈良川だ
谷戸が元気で 地球が元気 ホーホー 蛍来い


収穫祭@土橋谷戸

十一月十三日(土)
収穫祭

大盛況の報告とお礼

   昨年十一月十三日土曜日、朝から晴れの天気に恵まれて、恒例の収穫祭が行われました。

   フランクフルト、おでん、おにぎり、各種飲み物に加え、今年はフリーマーケットとドライフラワーのお店もオープン。お昼過ぎには完売し、大成功のうちに終了しました。

   何日も前から準備に追われ、当日は早朝から奮闘した会員の皆様、本当にご苦労さまでした。そして、収穫祭に遊びに来てくださった地域の皆様、ありがとうございました。

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