=「春の野鳥観察会」の報告=

日本自然保護協会「2010年国際生物多様性年CBO/COP10記念 全国一斉自然かんさつ会」参加企画

1.日時=平成22年5月22日(土)午前8時から11時30分頃
2.集合場所=奈良上自治会館前
3.参加者数=約34名
4.講師=仲俣申喜男先生(現代音楽作曲家・日本野鳥の会)、小森谷さん(奈良川源流域を守る会)
5.天候=快晴
6.主な観察地点=はらっぱ広場、土橋谷戸(たんぼ)、玉川大学体育館下、里山公園

◎奈良上自治会館前

観察に先立ち、案内役の鎮目(自然観察指導員)より参加者の方に資料(このサイトの一番下にあります)を配付し、本日の観察会の趣旨を次のように説明しました。
「今年は『国際生物多様性年』であり、今日の5月22日は『国際生物多様性の日』で、10月には名古屋でCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)開催されますが、それを記念して自然観察を通じて生き物の多様性を実感しようと日本自然保護協会が企画したのがこの『全国一斉自然かんさつ会』で、今日の観察会はそれに参加するものです。資料の一覧表にあるとおり、北海道から鹿児島まで、全国各地で観察会が開催されます。生物多様性保全は地球温暖化防止と並ぶ環境問題に対する重要な取組みですが、今日は難しい話しは抜きにして、野鳥観察を通じて奈良川源流域の谷戸の自然の巣晴らしを満喫して下さい。そして、お配りした資料に今日の観察ルート地図と観察メモがありますので、観察した鳥や講師の先生のお話を記入して下さい。観察後、この自治会館で『鳥合わせ』を行いますが、それに役立ちますし、後日、皆さんがこの谷戸を訪れ、バードウォッチングをなされた際の良い資料になると思います。なお、資料には2年以上にわたり当会がほぼ毎週、この源流域の野鳥調査をした結果、把握した野鳥名を記載しています。また、最後のページには仲俣先生が作られた野鳥の特徴の手引きがありますので、ご参考にして下さい」
続いて渡邊会長の挨拶の後、講師の仲俣先生と小森谷さんの紹介があり、観察を始めましたが、冒頭に仲俣先生より次のようなお話がありました。


仲俣先生「資料の『探鳥の手引き』は実は一昨年に作ったもので、その7番にウグイスの鳴き声が『ホー、ホキョキュヒョイ』と変わったと書きましたが、今年は『ホーホケキョ』と鳴いています。と思ったのですが、この辺ではやはり『ホー、ホキョキュヒョイ』と鳴いていると聞きます。本当にどう鳴いているのか、今日の観察会で確認してみましょう。ウグイスは毎年鳴き方を変えているのかも知れませんね。資料の『奈良川源流域一帯の野鳥の現況』は奈良川源流域を守る会の小森谷さん達が毎週土曜日に行っているセンサスの報告から作成したものです。詳しくは『カワセミ便り』に書かれています。実は今頃は、鳥たちにとっては昼寝の時間です。朝の3時半、4時から活動していますので、土日は朝早く起きられて散歩するともっと多くの鳥に出会えると思います。それでは、出発しますが、解らないことがあれば私か小森谷さんに聞いてください」
引き続き、小森谷さんの挨拶-------
小森谷さん「私は毎週土曜日のセンサスと共に、この近所にいる鷹の仲間の調査などを行っています。こういうことはずっと勉強をし続けることが必要ですので、万年初心者のようなものですが、質問がありましたらどうぞお聞き下さい。宜しくお願い致します」
仲俣「今、鳴いている鳥は何でしょう?キジバトです。『ホーホーポッポポー』と鳴きますが短調で演歌ですね。時々、『プン!プン!』と変な声で鳴くときがあります。求愛の時など、ディスプレイフライトという飛び方でメスに近づき『プン!』と鳴くのです。キジバトは他の鳥と違って年中繁殖可能なのです。」


観察メモ(講師の説明を中心に要約しました)


◎はらっぱ広場

ツバメが速いスピードで群れで来ています。ツバメは飛んでいる虫を食べます。ムクドリ、ヒヨドリがいます。カラスがいます。カラスの声もします。ハシブトガラスとハシボソガラスです。ハシブトはおでこが広く『カー、カー』と鳴きます。ハシボソは「ガー、ガー」と鳴きます。メジロも飛んできました。なお、今日は見えませんがオオヨシキリはここで確認されています。エナガが見えますか?シッポが柄杓の柄(え)のように見えます。


◎土橋谷戸(田んぼ)


カルガモがいます。カルガモは1年中います。カルガモの特徴を見てください。口ばし全体は黄色ですが、口ばしの先は黒、足はオレンジ色です。ウグイスのさえずりが聞こえます。やはり、『ホー、ホキョキュヒョイ、ホー、ホケチョビ』と鳴いていますね。カラスがいますが、『ガーガー』鳴いているのであれはハシボソガラスです。キジバトがいますが、「鳩に豆鉄砲」ではありませんが、豆が大好物です。ですから、枝豆を植えておいて双葉が出てくると食べられてしまいます。鳥には「砂袋」というのがあって、ハトはそこにいつでもミルクを貯めます。これをビジョンミルクといいますが、これにより年中子育てが可能なのです。フラミンゴのミルクは真っ赤で、フラミンゴミルクというそうです。

ムクドリがいますが、ムクドリは家の戸袋に巣を作りますね。ムクドリの卵の色は青色です。
ヒヨドリもいますが、ヒヨドリは南方系の森の鳥で花の蜜や花びらを食べるので、口ばしが細いです。椿に顔をつっこむので、ほっぺたが花粉で真っ黄色になっています。
この田んぼには、アオサギやコサギが来ます。田んぼに竹で作った止まり木がありますが、カワセミが良く来て止まります。そこの奈良川の源流の魚を食べたり、玉川大学のキャンパスのある本山池の魚を食べたりします。
ツツピーとシジュウカラがさえずっていますね。イシシシーとも鳴いています。これは、コミュケーションの声ですね。鳥は耳が良いので、小さな鳴き声も聞き取り、コミュニケーションをしているのです。
ツバメが来ました。泥をとって巣を作ります。昔の農家はツバメが巣を作りやすいように入りやすいように、戸を少し開けていました。玉川学園の駅にツバメの巣があります。ツバメもそうですが、鳥は生まれたところに帰ってきます。そこが鳥の縄張りだからです。
キー!というキジの声が聞こえました。
コゲラが木を突いている音がします。
いつもは、キセキレイやセグロセキレイ、ハクセキレイがいますが今日は見えませんね。
(追記:里山公園を観察した帰りにも田んぼとおりましたが、その時はチョウゲンボウが舞っているのが見えました)


◎玉川大学体育館下

ここに鳥の羽がありますが、これはキジバトの右がわの尾羽です。先が白いのが特徴です。ドバトは黒いです。根元がふわふわしているのがハトの特徴です。このように1枚の羽からも種類が判ります。羽が沢山落ちていると襲われた可能性があります。
今日はチョウゲンボウがいないようです。いるのはドバトです。体育館の赤い桁に白っぽいものが見えますが、あれはチョウゲンボウの糞です。
チョウゲンボウは猛禽類、鷹の仲間ですが、この辺りには他にツミが生息しています。
あ、チョットコイとコジュケイの声が聞こえました。


体育館の梁をよく見るとカラスの巣があります。卵を抱いているようです。望遠鏡で見てみましょう。


◎里山公園

きれいな声で年中鳴く鳥は何かとの質問がありましたが、今日はまだ見ませんが、それガビチョウといって外来種です。以前はいませんでしたが、一年中鳴いています。
ヒヨドリやムクドリがたくさんいます。この公園内に巣があるようです。
ヒヨドリの飛び方はユニークです。翼を広げて上昇し、つぼめて下降するという波形の飛び方をします。ムクドリはサーと真っ直ぐに飛びます。
メスのキジが田んぼの方に飛んでいったようですね。この藪の中に巣があるようですね。
鳥が歩いていますって?コジュケイだと思いますね。
キー!と声が聞こえましたね。キジだと思いますね。声の方にいってみましょうか。
メスのキジが田んぼの方に飛んでいったようですね。この藪の中に巣があるようですが、人は大勢来ると逃げてしまうんですね。


◎ 今日の観察会の解説と鳥合わせの結果(奈良上自治会館に戻って)

観察ルートマップをもとに、観察した順番に小森谷さんが説明
・ 自治会館前・・・キジバト、ヒヨドリ(一番数が多い)、カラス


・ はらっぱ広場・・・ムクドリ(電線にもとまっていました)、ツバメ(イワツバメではないかとの質問もありましたが「ツバメ」です。飛んでいるのを下から見ると腰が白いのが特徴です。口の周りが赤いのも特徴です)、メジロ


・ 土橋谷戸(田んぼ)・・・カルガモ(えさを食べていました)、シジュウカラ、ウグイス、キジの声。
コゲラの声(ギーと鳴いていました。キツツキの仲間で白と黒のスズメぐらいの鳥です。大抵、シジュウカラやエナガ、メジロの群の中にいます。大抵今時分は、2羽で番いで来ます。キツツキの仲間ですから、木を一通り縦に点検して虫がいそうだったら突っついてほじくり出して食べます。虫のいる木が少ないようで、この辺一帯を巡回してみているようです。それから、今日はいませんでしたが、アオゲラというハトより少し大きいくらいの緑色のきれいな鳥がいて、これもキツツキの仲間です。住宅にも飛んできます。東北や北海道に多いのはヤマゲラです。仙台に多いのはアオゲラです。アオゲラとヤマゲラの違いは、ヤマゲラは縞々がなくて、お腹も薄緑っぽいところです。アカゲラはもう少し小さくスズメより大きいくらいで、頭は赤いです。この辺にはたまにいます。止まっているところを見ますと肩に白い模様があって逆ハの字の形をしています。それがないのがオオアカゲラです。どちらかというとアオゲラは住宅地のある低地にいて、アカゲラの方が山の方にいます。自宅のそばに枯れて倒れた松の木があって番のアオゲラが皮をはいで中からむしを引っ張り出して食べていました。アオゲラはピーヨと鳴きます。今、表で鳴きましたね!コジュケイも同じように鳴きますがもっとはしたない、ピーヤ!という声ですね)
カワラヒワ(ウィーン!とセミのような不思議の声で鳴きます。口ばしが太く、よく河原にいて月見草の種などを食べています。下流の方とかに多く、町中の桜並木でもよく見かけます)、
エナガの群が10数羽(ジュリ、ジュリと鳴きます。地鳴きで囀りはないようです)


・ 玉川大学体育館の下・・・カワセミ(一声ですがチィー!という鋭い声がしました。巣は土の土手が露出したようなところに横穴を掘って作ります。川出でなく少し離れた山の斜面に作ることもあります。今は子育て時期ですので、もう少しすると雛が巣立つので見やすくなると思います。カワセミは1970年代80年代の公害の激しいときに激減しました。しかし、その後環境意識が高まり、川などが浄化されて都心に帰ってきたと言われています。)、
ドバト(チョウゲンボウと間違えた)、カラス(巣がありました)、カケス(一声鳴きました。英名はJayといいますが、ジェイ!ジェイ!と鳴きます。姿はきれいですが、声はあまりきれいではありません。しかし、きれいな声も出せます。自転車のブレーキの音や猫の声もまねます)


・ 里山公園・・・キジ、キジバト、ヒヨドリ


・ 帰り道・・・チョウゲンボウ(今日の観察会のポスターにあります。これはシッポを広げていますが、つぼめるともっとシッポが長く見えます。鷹類は一般にテリトリーが広く、体育館の前は芝生があって見晴らしが良く巣にしていますが、岡上などは畑がありスズメが多く獲りに来ています。玉川大学の中には豚小屋などがあってスズメが多いですがそれを狙っています。今日は見えませんでしたが、チョウゲンボウより小さいツミも飛んできます)、キビタキ(フィリッピンの方から渡ってくる夏鳥です。この辺に2、3日滞在してもっと山の方に行くきれいな鳥です。顔も可愛らしく人気があります。ホヒヒヒと柔らかいきれいな声ですがコジュケイの声などを取り入れています。以前はツクツクホウシの声を取り入れていましたが。英名はNarcissus Flycatcherといって梢に止まり虫を空中で捕って梢にまた止まります。)、スズメ(全国的にスズメが少なくなったようです。藪に多くいて草の種を食べています。田んぼの米の柔らかい時に来て食べるので農家に嫌われていますがそれを一時のことです。子育ての時は虫を食べますから、人に益することが多いです。中国では文化大革命の時にスズメ撲滅作戦を実施した結果、翌年は大凶作になったそうです)


・ その他・・・ハシボソガラス、ハシブトガラス(カラスは賢い鳥で遊びます。犬小屋の斜面につもった雪の上を何回もすべり台代わりにすべって遊んでいました。カラスのいるところに鷹類が来ると、カラスは大騒ぎをして仲間を呼びます。そして大勢の鷹に攻撃を仕掛けます。オオタカは一対一ではカラスに負けませんが、大勢に来られるとしっぽを巻いて逃げてしまいます。それをカラスのモビングといいます。チョウゲンボウもカラスに負けますが、巣などに近い付いたときは反撃するようです)


・ 今、ガビチョウという外来種が増えています。しかし、ソウシチョウという外来種はめっきり減りました。アメリカシロヒトリという外来毛虫が一時問題になりましたが、今は問題になっていません。セイダカアワダチソウもそうです。外来種がその土地に居着くかどうかは、もう少し見ないと判りませんね。数が少なくなったと言うことは日本の生態系に組み込まれたと言うことです。


・ 今日は以上22種類の野鳥が観察されました。なお、毎週土曜日に7時から40分ほどセンサスを行っているので、都合の良いときに来られて参加してみて下さい。


以上